ハイエナ少女の血とガッツ 街編 灰野りつ子 (ぶんか社コミックス ホラーMシリーズ)

本日発売。ノーチェックだったが帯で「三家本礼スペシャル応援トリビュートまんが」とあったのにまんまと乗せられた。実際は漫画ではなくイラスト1枚だけ。大人は汚いぜ。
だがこれは大きな収穫だった。テイストは三家本に似て、感情をペンに乗せることに長けている。表情が歪めば歪むほど凄みが尖っていくタイプ。登場人物が最後の一線を踏み外して外道に落ちたときにこそ最も輝くという、いかにも三家本が好みそうな作風だ。
ただし主人公の子供らは今はまだゾンビ屋のような特殊能力者ではない。自分たちを取り巻く理不尽に対して非力な手で立ち向かいながら、少しずつ絆を深めていく様がなんとも切ない。こういうの大好き。
人を惹き付ける物語はしばしば綻びを内包している。「おい、これどうすんだよ」と読者に突っ込ませる隙を作ることで、その先を読ませる原動力とする。この漫画にはそれがある。過不足なく綺麗にまとまる作品にこういう魅力は無い。
タイトルにある「ガッツ」は日本語のセンスで受け止めると「ん?」と首をひねってしまうが、ガッツってつまり内臓ですから。つまり「ハイエナ少女の血と内臓」というタイトルですから。
今月読んだ漫画の中で一番わくわくした。この作品の続きはもちろんのこと、この作者自身の今後についてもチェックしていきたい。
著者名で検索するとどうやらこれが初めての単行本らしく、他に読める作品が見当たらない。一つだけ携帯サイトのコミックシーモアで「割礼教師」(全2話)という作品が見つかったので躊躇なく購入。「こうして正義は滅んだのです」とかしびれる。露悪的で大変結構。

ハイエナ少女の血とガッツ 街編 (ぶんか社コミックス ホラーMシリーズ)

ハイエナ少女の血とガッツ 街編 (ぶんか社コミックス ホラーMシリーズ)