MR+

まんがタイムきらら2010年4月号に掲載されていた読み切りアイオーンコードというタイトルを見た瞬間、MR+の現状が知りたくなった。
MR+はまんがタイムきららMAXに2005年4月号から2007年8月号にかけてアイオンという4コマ漫画を連載していた。おそらくこれが唯一の商業誌連載作品になる。特別気に入っていたわけではないが気になる作品だった。3人の少女を中心とした学園もので可愛さの中に妙な刺々しさがあり、終盤は主人公の一人の母娘関係の緊張が病的なまでに高まっていた。その後何の説明もなく連載は中断した。有り体に言えば打ち切りだが、自分は作者が収拾を付けられなくなったものと考えている。あの状況から都合よく大団円に向かうのは困難に思えるし、かといって破滅的な終わり方も掲載誌側が受け入れられなかっただろう。
その後MR+はどうなったのか。まず2ちゃんねるの過去ログから。
MR+【アイオン】(unkarに残っていたキャッシュ。本家スレッドはdat落ち
ここに寄せられた情報を頼りに検索した結果は以下の通り。あくまで噂と推論。

  • おでん缶というサークルの同人誌に悠というペンネームでゲスト参加し、熊本の即売会で頒布(2007〜2008年頃)

MR+自身が熊本出身で、アイオン連載開始時点ではまだ学生だった模様。サークル「おでん缶」主催者である「ややん」氏のサイトは存在する(ややん農場)が、2008/11/16を最後に更新されておらず、悠氏のイラストも存在しない。ただ悠氏の名前が2回言及されたのみである。このサイトの情報で悠氏が参加したことが判断できる同人誌は以下の通り。
松岡美羽の教えて先生さん!」(苺ましまろ 2007/5/26) 悠氏は裏表紙担当
「巫女☆すた」(らき☆すた 発行時期不明) 表紙が「ややん&悠」名義、悠氏の担当は不明
「ヤサコとイサコ」(電脳コイル 2008/2/24) 表紙が「ややん&悠」名義、1ページ寄稿予定あり、実現したのかは不明
いずれもネット上では情報が全く見当たらない。全ての表紙画像にホチキスが写っておりコピー誌だった模様。とにかく悠氏の絵が皆無でありMR+名義やアイオンの言及もない。ただ次に述べる別サークルにも悠という人物が参加しており、そちらのサイトとややん農場の間に相互リンクが張られているので、二人の悠氏は同一人物と見ていいだろう。

  • お月見マンボウというサークルに参加(2007年頃〜現在?)

サイトはこちら(公式サイトブログサイト)、ただし公式は2009/8/14、ブログは2008/03/15を最後に更新されてない。主催者は「月乃きつね」氏。その相棒として悠氏が紹介され、2007年末頃から悠氏は「宵風」(よかぜ)を名乗るようになる。こちらでは狼と香辛料を始めとして何点か宵風氏のイラストが掲載されており、確かにMR+の面影が感じられる。同サークルの同人誌の中で少なくとも以下の3誌には宵風氏が参加している。
「狼と収穫祭」(狼と香辛料 2007/12/31)
「狼と永久に」(狼と香辛料 2008/08/17)
「Butter Honey」(とらドラ! 2008/10/05)
3点とも在庫切れだがとらのあなで内容を確認できる。18禁。レイプ目描写があるが、その辺りの作風はアイオンの頃から片鱗が見えていたと思う。
またなごみ通販の中古同人誌検索から、その後の活動も確認できた。
「yorozu book」(よろずイラスト集 2009/4/26)
「WOLF no TUMEAWASE」(狼と香辛料 2009/8/16)


さて、彼は商業に戻ってくるのだろうか。きらら等の萌え4コマ界隈にエロ同人出身の作家はごまんといるので、経歴上は不都合ないだろう。画力も不足ない。足枷はおそらくアイオンの失敗で喪失した自信と、破滅的な方向に作品の舵を切りたがる性向か。前者は自分でどうにかするしかないし、後者はうまいことエンターテイメントに昇華する術を身に着けて欲しいと思う。もちろん言うは易しの類である。