こんどる♪ 1 風上旬 (ヤングチャンピオンコミックス)

久しぶりの風上旬の単行本になる。アイドルに憧れる頭の足りない少女が、コンビニ発アイドル(故にこんどる)の誕生を目論む女性店長にそそのかされ店員になり、余裕でアウトのセクハラを受け続ける4コマギャグ漫画。制服からしてパンチラというよりほぼパンモロである。
いつものように雲定規を使ってるかのような淡白な絵柄が、なんとも言えない独特の濃い作風とうまくバランスを取っている。本作品ではとくに男の変態性の描写に容赦がなく、気持ち悪いを通り越して非生物的な造形を誇るコミュニケーション不可能な男性客が続々と襲来するので、相手をする女の子はこれくらい記号的でいい。カラーの口絵と巻末で頭身を上げた水着ピンナップを披露しているが、微塵もエロスを感じさせない爽やかさも作者の人徳だろう。
ところでこの作品は4ページ連載だが、単行本では連載1回分(4ページ)ごとに白紙を1枚(2ページ)挟んでいる。つまり1.5倍に水増ししている。ただこれについて文句はない。理由の一つ目はその白紙に「連載分のその後」という体で1コマずつ描き下ろされていて結構面白いこと。二つ目は白紙を省いてページを減らしてもえてして価格はさほど下がらないこと。三つ目はこの1冊が出るのに1年かかっており、もし水増し分も連載で埋めようとしたら今後は1冊に1年半かかることになるので、正直それはつらいということだ。
全体としてシュール系であり、あまりギャグの定石に従うつもりがないというか、そもそも笑わせようという意識すら希薄に感じる。笑いどころが分からないと思っていたら思わぬ方向から攻撃が飛んでくる、そんな普通ではない漫画。

こんどる♪ 1 (ヤングチャンピオンコミックス)

こんどる♪ 1 (ヤングチャンピオンコミックス)