パラドクス・ブルー(4) (ブレイドコミックス) 中西達郎×nini

「完」のページを開いてヒヒッと気味の悪い笑い声が漏れた。
中西! 世界はあなたの才能を必要としているぞ!(天を仰いで握った両手を突き上げる)
ブレイド生え抜きという立場は中西達郎一人ではないはずだが、それでも編集部から繰り返しチャンスを与えられる価値は確かにある。というか自分的には前作も前々作も大好きだったんですが、そういう個人的嗜好は横に置くとしても、編集者の立場から中西には見限るには惜しい才能が備わっているのだろう。
一山越えて逆襲編が始まったことで、色々と解きほぐされた感がある。何よりも役立たずのクリスがひたすら前向きであった理由が腑に落ちたことが大きい。クリスには物語を押し進める動機があった、というよりクリスには動機しかない。でも物語の力学で動く中西ワールドではそれは何よりも重要な力だろう。
この軽妙なノリ、ゲームへの言及を節目に挟む演出はともすれば読者が真剣に没入することの妨げにもなる諸刃の剣ではある。今のところあまり効果的に用いられているとも言い難い。そしてこれは単なる予感だが、多分この演出は最後までこのままで、とくに納得しやすい理由付けもなく終わりを迎えると思う。まあその辺りはあきらめた。こういうのが駄目な人には全然受けないんだろうな、この作品。
ともあれ始まった逆襲編、どうやら様々な違和感を楽しめそうな流れになっており、期待はいや増すばかりである。

パラドクス・ブルー(4) (ブレイドコミックス)

パラドクス・ブルー(4) (ブレイドコミックス)