『虚言癖、嘘つきは病気か』 林公一


よく言われることだが、従来は考えられなかったような多様な犯罪者や厄介者が今年は次から次へと登場し、とりわけ虚言者の存在が台頭した。
電子書籍サイトの期限切れ間近なポイントを使い切ろうと思い立った際に、このクレイジーな2014年の締め括りにはこれが相応しいだろうと、掲題の書籍を購入した。
林公一先生(筆名)の「Dr 林のこころと脳の相談室」は毎月5日を過ぎたら巡回するようにしている。
彼(男性かどうかは分からないが)の語り口は明快かつ簡潔だ。
不確かな自論で勝手な結論を出すようなことはせず、分からないことははっきり分からないと言う。
この書籍の序文でも、本書では嘘つきが病気かどうかの結論は出ない、むしろそれはこれからの精神医学の課題であると正直にぶっちゃけている。
俎上に乗るのは著名な虚言者からサイトに相談のメールを寄せた一般人まで多岐に渡り、順番に取り上げて解説していく。
もちろん今年の立役者である小保方晴子氏、佐村河内守氏、野々村竜太郎氏、2年前になるが森口尚史氏も扱われている。
報道されている資料を元に、いくつかの評価軸からコメントを付ける形式なので、比較的ざっくりした内容に留まる。
個々の事件について独自に調査を行なっていくものではないので、そういうものを期待して読むと拍子抜けかも知れない。
ひとつ記憶に残ったのは、小保方氏の往生際の悪さは必ずしも本人の素直な意思だけに限らず、弁護士の法廷戦術的な入れ知恵によって増幅された可能性があるという指摘だ。
その後の弁護士が取るであろう具体的な方針の推測も含めて中々面白かった。