絶望先生オープニングのピアノが好きだ。

無印絶望先生の時も思ったが、筋肉少女帯大槻ケンヂ+特撮には妙な中毒性がある。ミニマルな楽器構成の中でピアノがとりわけ印象的だ。ロックやジャズに使われるピアノはいい。音の粒々した感触が自分の音空間の中心を直接叩きに来る。同じ理由でのだめのイントロも大好きだ。このつぶつぶ感ががたまらない。
ピアノというのは不思議な楽器だ。弦楽器なのに、あんなに硬質で澄んだ音が出る。先端がフェルトになったハンマーで弦を叩く様子を見ても子供心に納得できなかったし今もよく分からない。ピアノ以前にはピアノ的な楽器がいくつかあったが、ピアノの出現以降はピアノが圧倒的に普及し、ピアノ的楽器の進歩はそこで停止してしまったように思える。おそらく鍵盤型弦楽器の最終形である(今のところ)。ピアノ以前の楽器と比較して最大の長所は強弱を制御できることで演奏の幅が広がった事なのだろうが、個人的にはこの音色の良さが決め手だったんじゃないかと思っている。ハープシコードのような古い楽器にも味があるけど、ピアノと比べると物足りない。身近な楽器であるせいで無個性のようにも思われがちだが、合奏の中でのピアノの主張の強さに気付くとものすごく個性的な楽器であることが分かる。なんせ他の楽器で代用が効かない。
絶望先生オープニングでやってるような単音でポロポロというのも好きだが、ジャズで聞くような和音でジャッジャーン的な弾き方もいい。そういうときのピアノの切れ味は格別で、テンションが上がる。静かな音楽になると、バラードがあまり得意ではないのでちょっと距離が生まれるが、古い曲でダブルのキャプテン・オブ・ハー・ハートが印象に残っている。