Information Highの意味

Information Highはマクロスプラス関連楽曲でも人気の高い方だと思う。リズムは表打ち、音圧は恒常的に高く、センスがいいかと言われたらむしろダサい部類の曲なのだが、聴衆を強制的に引っ張り回す感じ(drag, not drugとでも言ってみる)が病み付きにさせる。Information Highwayからの連想と思われるタイトルは情報の奔流による高揚感を表しているのだろう。Youtubeでのコメントに「曲は好きだが歌詞は完全に無意味(complete nonsense)」と書かれていて笑った。ちなみに作詞は佐藤大と渡辺健吾で後者はバイリンガルとのことだが、英語がどれだけできるのかは分からない。
この曲の都合のいいところは歌い手が人工知能シャロン・アップルだという前提になっている部分で、だから「米人はこんな英語喋らない」みたいな批判は自動的に封じられてしまう。If〜Then構文の繰り返しになっているところはあからさまなコンピュータプログラムのパロディだろう。無意味というのはちょっと言い過ぎで、AIがAIなりのロジックで悟りに至るという文脈では全体として意味が通る内容になっている。韻を踏むことを優先して変な単語が末尾に来るのも人間の不完全な模倣だと思えば理屈は通る。AIが無理な自己進化に挑戦した結果、支離滅裂になっていく過程だと思うと、歌詞の変な部分にもなかなか切ない味わいがある。と、その欠点の全てを歌い手のキャラクターの魅力に転換可能なこの歌に死角はないとさえ言える。新人歌手や声優の下手な歌を好んで聞くファンも、自分に対してそんな言い訳をしているのだろうか。